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大豆(イソフラボン)は身長を伸ばす妨げになるってホント?

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子どもの身長を伸ばすためには、食生活も関わってくることがあります。どのようなものを食べれば、身長が伸びるのか情報は多くありますが、今回は大豆について解説していきます。大豆は子どもの身長を伸ばすのに良い食品なのか、妨げになる食品なのか、さまざまな角度から検証します。

大豆に含まれるイソフラボン

身長を伸ばす重要な栄養素としてタンパク質があげられます。大豆製品は良質なタンパク質が豊富なので、一般的には身長を伸ばすためには良い食品と言えるでしょう。しかし、大豆製品には気になる点もあります。それは「イソフラボン」と言う物質です。イソフラボンは分子構造的に女性ホルモンのエストロゲンと似ているため、「植物性エストロゲン」とも言われ、体内でエストロゲンと類似作用を起こすことが知られています。そこで、問題になるのがエストロゲンの作用である「骨端線(こつたんせん)」を閉じる働きです。骨端線は、骨が成長していく部分で、通常女子では15歳から16歳、男子では17歳から18歳でなくなる(骨端線が閉じる)ことが多いです。つまり、大豆製品を多く取ってしまうと、骨端線が閉じる時期が早まってしまうという懸念が生じるのです。

イソフラボンと身長の関係

では、大豆製品は身長を伸ばす妨げになるのでしょうか。実は確実な答えは出ていません。さまざまな説がありますので、以下にご紹介していきます。

マイナスの意見

2011年Daegu Universityという雑誌のキム先生の論文です。韓国の8歳女児で病的に思春期が早くなった(思春期早発症と言います)108名と特に早くなかった91名を対象に、イソフラボンの血中濃度で検証しました。結果は、思春期早発症の子供の方が30nmol/l以上の高濃度率が示されました。思春期早発症の場合、思春期症状が低年齢の頃から発現し、早期に体が完成してしまうため、一時的に身長が伸びた後小柄のままで身長が止まってしまいます。そのため、論文では女子の場合、イソフラボンの摂取量は少ない方が良いと結論づけています。

プラスの意見

逆に女子の思春期を遅らせる可能性がある論文もあります。ドイツの子供栄養研究所が発表したものです。これは、女性ホルモン様物質であるイソフラボンが、体内で女性ホルモンと勘違いされることによるものであり、これが思春期のタイミングを遅らせる影響を持つ可能性があると指摘されています。例えば、男性ホルモンを摂取すると体が勘違いし、逆に自分の男性ホルモンの分泌を抑制するように、イソフラボンも女性ホルモンの分泌を減少させ、思春期の遅延に寄与する可能性があるとされたのです。この逆説的な結論は、イソフラボンの影響が複雑であることを示唆しています。

関連性はみられないという意見

3つ目の論文は思春期の発現とイソフラボンの関連性は見られない、という論文です。ブラジルのSao Paulo State University先生のものです。8つの研究を集め、大豆をたくさん食べている子供たち598人、全然大豆を摂取していない2957人を比較検討した結果、「関連性は認められなかった、大豆を摂取しても問題ない」との意見が掲載されています。

まとめ

大豆製品が子どもの身長を伸ばす妨げになっているのかどうか、明確な答えは出ていません。ただ、イソフラボンは女性ホルモンに似た物質ですが女性ホルモンそのものではありません。性別や人種による差もあります。イソフラボンとはマイナスの意見、プラスの意見、関連性がないとする意見、そうした性質をもつ食材であるともいえます。基本的には豆腐や納豆を適量食べる分には問題ありません。問題があるとすれば、過剰に摂取したり、一つの説を絶対視するのではなく、正しい知識をもとに判断することが大切です。

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田邊 雄 院長【監修】
東京神田整形外科クリニック 田邊雄 院長

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■所属学会:日本整形外科学会、日本再生医療学会、日本成長学会
■資格:医師、医学博士、整形外科専門医
■専門:体質性低身長、膝の再生医療
2011年、金沢医科大学医学部卒業。順天堂大学医学部附属順天堂医院関連施設での研修・勤務を経て、2019年に西新宿整形外科院長就任。翌2020年に「東京神田整形外科クリニック」を開院。

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